鹿児島県 奄美大島

奄美大島の夜の山で見つけた生き物たちーライトセンサスー

2023年12月9日~16日の7日間、鹿児島県奄美大島の様々な場所で生き物探しをしてきました。ざっくり100種以上の色んな生き物に出会えたので紹介します。

注意:同定は100%正確ではありません。大変恐縮ですが、もし誤同定がありましたらこっそり教えていただけると幸いです。

夜の山で見つけた生き物たち(ライトセンサス)

ライトセンサスとは、夜間に林道や山道を車で低速走行しながら前方や左右をライトで照らし哺乳類の種類や頭数を調査する方法です。今回は哺乳類に限らず、あらゆる生き物を対象に探してみました。今回の場所は道にカエルやヘビがよく出てくるため車の時速は10km以下です。

上記のツイートに添付した動画が実際に奄美大島で行ったライトセンサスの様子です。

ナメクジの仲間?

外見上はナメクジに似ているのだが、粘液を一切出していないため詳しいことがよくわからない。

アマミサソリモドキ

サソリモドキの名の通り、サソリとは別系統の生き物。いかにも奇妙な見た目をしている虫ですが、激レアとは全く正反対で大量にいます。林道を車で走らせているときに横を見ると嫌でも目に入ってくるのですが、土の横壁に穴を掘ってそこで暮らしているようです。

気を付けなければならないのが、外敵から身を守るために肛門から噴射される酢酸臭のする液です。皮膚につくと炎症を起こし目に入ると激痛を伴います。不用意に近づいたり刺激すると防御反応として攻撃されるのでご注意ください。

ヤモリの仲間

同定に必要な裏側の写真をしっかり撮影できていなかったので種までは分かりません。多分ミナミヤモリだと思うけどアマミヤモリの可能性もある。

おそらくオオゲジ

ゲジと似ているが体長のサイズや3本の黒い縦筋がないのでおそらくオオゲジ。

この個体は2020年8月に沖縄で捕獲したオオゲジ

大きくなるとこんなサイズになります。噛まれるとそれなりに痛いし有毒なので気を付けてね。

クロトビイロサシガメ

Googleレンズとネット図鑑で絵合わせ的に同定した虫。上半身の両腕マッチョな形態で面白い。次に出てくるマダラカマドウマの幼虫を捕食したりする。

アマミマダラカマドウマ

奄美大島と徳之島だけに生息する固有種。ジャンプ力がすごいので捕まえようとすると意外と難しい。飼育するにも高さやスペースがないとジャンプした際に頭をぶつけて死んでしまうので難しいとか。

カクレイワガニ

イワガニ科カクレイワガニ属に分類される陸上性のカニ。本属では世界に5種が知られていて、日本には3種(カクレイワガニ、オオカクレイワガニ、アカカクレイワガニ)生息している。他の2種は南の方にしかいないが今回は観察できず残念。

鉗脚長節の内縁がトゲのある板状なのが他のカニにはない大きな特徴。

アカマタ

12月でも元気に姿を見せてくれるのはやっぱりアカマタ。奄美群島と沖縄諸島にしか生息していない日本の固有種です。無毒なので一昔前はバラエティで使われていたが、気性は荒く大型個体になるとホンハブすらも捕食対象になるのでビックリ。

捕まえるときはヘビ捕り棒や足で動きを抑えてから、首根っこをつかめばOK。腕に巻き付かれるとひんやりして気持ちいいのでぜひ試してみてほしい。また、外敵から身を守るためにお尻にある臭腺から臭い液を出してくるのでそれを味わってみるのも南西諸島遠征の醍醐味だ。

ツマベニチョウ

夜間だったので葉に止まって寝ている様子。先輩が後ろからライトを当ててくれてツマベニチョウの特徴である前翅の先のオレンジを見せてくれた。

ヒメハブ

冬の間も活動することで有名なヒメハブ。山に入って水の貯まった側溝をのぞいてみると高確率でそこにいる。というのも、水の貯まった側溝には冬が繁殖期のアマミアカガエルが産卵のために集まってくるからです。

ヒメハブの幼蛇

夜の山を車でゆっくり走っていたら道路に出ていたヒメハブの子供。

トビズムカデ

本州でもよく見かけるムカデ。

リュウキュウコノハズク

奄美大島以南に留鳥として生息している野鳥。山に入ると鳴き声(コホー、コホツ)がよく聞こえてくるけどなかなか姿が見えない。運よく一羽だけ観察できました。

奄美大島のカエルたち

奄美大島には10種のカエルが生息している。そのうち9種が日本在来種で1種が外来種(特定外来生物のシロアゴガエル)です。がついている6種を観察できました。

  • アマミハナサキガエル
  • アマミイシカワガエル
  • オットンガエル
  • アマミアオガエル
  • リュウキュウカジカガエル
  • アマミアカガエル
  • ハロウェルアマガエル×
  • ヌマガエル×
  • ヒメアマガエル×
  • シオアゴガエル(外来種)×

アマミハナサキガエル

奄美大島と徳之島にのみ生息する絶滅危惧Ⅱ類の希少なカエル。鹿児島県の天然記念物や奄美市の希少野生動植物種に指定されているので捕獲はできません。触るのもNG。本当に希少種か?と疑いたくなるくらい林道で見かけた。ちゃんと保全された結果個体数が増えているのだと推測。かなりデカいよ。

アマミイシカワガエル

奄美大島にだけ生息する日本固有種の超希少なカエル。イシカワガエルは鮮やかな緑色に金紫色の斑紋が出ることから日本で最も美しいカエルと言われています。沖縄島にだけ生息するオキナワイシカワガエルという種もいるがアマミイシカワガエルの方が鮮やかに感じる。

国内希少野生動植物種、鹿児島県の天然記念物に指定されているので捕獲等はNG。

個体によって模様の大きさや色には差があり、この子は見事な擬態色になっている。

オットンガエル

奄美大島と加計呂麻島にのみ生息する超希少なカエル。大型のヒキガエルやウシガエルくらい大きくて重量感があります。他のカエルとは違い前脚の指の数が5本あるのが特徴で、オス同士の争いや交尾の際の抱接に用いられると考えられています。

オットンガエルもアマミイシカワガエルと同じく、国内希少野生動植物種と鹿児島県の天然記念物に指定されているため捕獲したり触ったりすることはできません。

今回見つけた6種のカエルの中では見つける難易度が最も高かったです。2個体しかいなかった。

アマミアオガエル

奄美大島と徳之島に生息する日本固有種のカエルです。見た目だけでいうと本州のシュレーゲルアオガエルに似ているが生息地がかぶらないのでそこで見分けられる。

普通は緑色だが、茶褐色の個体もいるらしい。

希少種や天然記念物などの法的制限はないので触ったり捕獲したりするのはOK。上からゆっくりつかんでも全く逃げようとせず警戒心の低さを実感した。これが島の生き物か。

リュウキュウカジカガエル

トカラ列島から沖縄諸島にだけ生息する日本固有種。足指に吸盤があるのが特徴で、下のアマミアカガエルと比べると指の太さに対する指先の大きさが違うのが見て分かる。

アマミアカガエル

奄美大島と徳之島にだけ生息する日本固有種。本州のニホンアカガエルと同様に産卵期が冬のため、今回の遠征ではめちゃくちゃたくさんいた。山に入って水の貯まっている側溝を覗いてみれば簡単に見つかるだろう。

サワガニたち

奄美大島に生息しているサワガニの仲間は3種で、アマミミナミサワガニ、サカモトサワガニ、リュウキュウサワガニである。今回は2種も見ることができました。

アマミミナミサワガニ

奄美大島と徳之島の固有種。前側縁に明瞭な1歯(1つの切れこみ)あるのが特徴。

サカモトサワガニ

アマミミナミサワガニと違い、前側縁に切れこみはなくつぶつぶしているのが特徴。

遠目から見ると丸く見えるが近くで見てみるとつぶつぶしているのが分かるだろう。

 

ヒメクダマキモドキ

外見上の特徴からおそらくヒメクダマキモドキ。ただ違うかもしれんからあんまあてにしないで。

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